• 2009/01/13 オフィシャルブログ

    総資本経常利益率とそのポイント+自社ビルをもつ意味(2006年2月掲載分)

    〔総資本経常利益率とは〕
    投下した資本に対して、どれだけの経常利益を生み出したのかを判断する指標です。
    つまり、いくら利益を出しても多大な資金を使っていたのでは、全く意味がありません。
    この指標は、どの程度効率的な経営を行っているかをみていくことになります。

    (算式とポイント)
    総資本経常利益率=経常利益÷総資本×100%
    通常、借入依存型の中小企業においては、支払利息の為に、経常利益は営業利益を下回るケースが多いようです。
    総資本経常利益率が低い原因として、総資本が過大になっている場合と経常利益が少ない場合とが考えられますが、多くは前者が多いようです。
    総資本=総資産ですから、特に売掛金の回収が滞っているものが沢山あったり、不良在庫を抱えていたり、その他、役員に対する貸付金が長期にわたって残っているような場合は、総資産経常利益率は低くなります。

    (身近なところからのケース)
    また、「いつかは自社ビルを持つ」などの目標を言われる方が、減ってきたとはいえ、未だにおられます。
    自社ビルを持つこと自体を目的にすることは、投下した総資産に対してどれだけの利益を生み出したかという点から言えば、はっきり言って、マイナスの発想であると思います。
    何も、自社ビルを持つことが悪いと言っているのではありません。
    何の戦略もなくただ自社ビルを持つことがえらいという発想がよくないと言っているのです。
    もちろん、従業員や社長自身のモチベーションの向上を期待する場合や一部をテナントとして貸すことにより本業以外の収益を稼ぎ出す場合や、相続税対策などの戦略的発想がある場合は、この限りでありません。
    商売は、額に汗して、一つの本業を浮気せずやりぬくというのもとても尊いことでありますが、投下した資本や労力に対していくらの「返り(利益)」があるのかを計算して動くことも必要であると思います。
    商売関係の場での、ただ(無料)の話は、絶対に長続きしません。
    当たり前の話にもかかわらず、ある程度の社会人経験を積んだ経営者が、「あの人は私の成長が楽しみだ」と熱く語ってくれました。
    「だから、報酬は出世払いでいいのです」と平気で言われます。結果は、ほとんどの場合、途中で頓挫します。
    こういう私も、人のことはよく見えるのですが、自分自身がどうであるのかは不明です。
    やはり、投下した資本(労働力)に対する見返りという発想は、ビジネスである限り、忘れてはいけません。
    みんな自分がかわいいのです。
    経営者の皆さん、社長に自社ビルをもってもらうのが、私の夢ですという従業員さんがおられたら、絶対にウソですよ。
    いや~、うちの従業員だけは違うという経営者がおられたら、あなたの「はだかの王様度」は、かなりのものといっていいでしょう。
    私は、何も、人を信じるなということを言っているのではありません。くれぐれも、誤解しないでくださいね。
    経営者たるもの、会社は公器(こうき)であり、そこに所属する社員さん全員が幸せになるように考えなければ、存続できないのではないでしょうか。
    私はそう思うのです。
    冷静になって考えてみてください。自分に何の所有関係のないビルが建つよりも、少しでも給料があがるほうが、うれしいし、きっと、頑張る気にもなれますよね。
    経営は経営資源である、人、もの、金の活用だといわれます。
    人を、人罪にするのも、人材にするのも、人財にするのも、経営者のあなた次第です。
    かく言う私も修行中の身ですので、「お前は、どうやねん」という叱咤激励は、お手柔らかに、お願い申し上げます。

    (総資本経常利益率の判断基準)
    一般的に8~10%以上は必要とされています。
    総資本経常利益率は企業の資本構成によって変わってきます。
    つまり、自己資本が充実している企業では借入金が少ない為、それにともなう支払利息も少なく経常利益が圧迫されなくて済みますから、総資本経常利益率も良くなります。
    当然この逆は悪くなってしまいます。